私がレモンケーキというものを知ったのは、沖縄に住んでから。
キラキラ光る銀色の袋に“Lemon Cake”の筆記体。
それ以外に他の情報は何もない。
なかは開けてからのお楽しみ!的な姿に、
ますます魅力を感じたものです。
わくわくとしながら袋を開けて姿を現したのは、
レモンのカタチをしたスポンジ。
どこのお店のものを買ってもほぼ同じ姿で、
上からレモンの香りのする黄色いチョコレートがかかっています。
きらびやかなパッケージとは裏腹に、なんともやさしい色合い。
味も見た目同様、素朴でやさしい味わい。
そして、なんだかとっても懐かしい。
最初こそほわほわと夢のように食べてしまったけれど、
忘れた頃にまた食べたくなって、
いつのまにかじわじわと
私のなかのお菓子ランキング上位になりました。
レモンケーキは、沖縄ではシーミー(清明祭)や旧盆に
お仏壇にお供えするお菓子としても有名で、
ウートートー(仏壇に手を合わせる)したあと
ウサンデー(供物をお下げすること)してから
このレモンケーキを食べるのを
楽しみにしているこどもも多いとか。
そんな話も見聞きしていたので、
レモンケーキは私のなかですっかり“沖縄のお菓子”になりました。
と同時に、自分のなかにフツフツと沸き上がる
「こんなすてきな沖縄菓子をもっと県外の人にも伝えたい!」
という、したたかな想い。
しかしながら、そんな私の願いはもろくも崩れ去るのでした…。
つづく。