先々週からひっそりとお店に並べているお菓子があります。
見た目がとっても地味で、
でもどこかちょっぴり清楚で。
それが、ヴィクトリアサンドイッチ。
名前の通り、ヴィクトリア女王が愛したと言われる
イギリスの伝統的なケーキです。
2枚のバターケーキの間にベリーのジャムをサンドしただけの
ごくごくシンプルなお菓子ですが、
逆を言えば、生地そのものの味わいがストレートに伝わります。
じつはきのストアーのお菓子は
バターをあまり使っていません。
たっぷり使うと思われがちなマフィンも
バターを一切使っていないほど。
理由は単純で、私自身が
バターのミルキーな味わいがあまり好きではないから。
そのかわりに、上質のなたね油を使用して
あっさりした味わいに仕上げています。
そのお話はまたいずれさせていただくとして…
そんなわけなので、ヴィクトリアサンドイッチは
きのストアーではある意味貴重な
バターをたっぷり使ったお菓子です。
じつはこの2週間、週替わりで
伝統的といわれるパウンドレシピで作ったものと、
もうひとつ私が若いときから焼き続けているレシピの
2種類のヴィクトリアサンドを並べました。
どちらも甲乙つけがたく悩みに悩んだのですが、
結局後者を選びました。
それは「Torta di sabbiosa」と呼ばれる
イタリアの伝統的なお菓子のレシピ。
直訳すると「砂のケーキ」。
ザラザラと崩れる食感が魅力の生地です。
本来はマスカルポーネベースのソースを添えて
ケーキに絡ませながらいただくのですが、
この生地をヴィクトリアサンドイッチに使ったら
おもしろい食感になるんじゃないかな?と。
きのストアーでは、ストロベリーとラズベリーのジャム、
それからクリームチーズベースのクリームを一緒に挟みました。
挟みたてより時間が経って馴染んだほうが断然おいしい。
イギリスらしく紅茶と一緒に、
ほろりしっとりの味わいをぜひお楽しみください。